海外からのアートセラピーニュース

海外のアートセラピーに関する情報


Primary school children tell us about their art therapy
「小学生がアートセラピーについて話してくれたこと」

 
英国アートセラピー協会(BAAT)からのニュースです。
あまりにもかわいらしく、そして的確な言葉でアートセラピーを紹介してくれたいます。
 
小学校でアートセラピーを体験できるイギリス、もう2年も前の記事からです。
 
4人の子どもたちからのレポートです。
 
例えば、
「アートセラピーは、自分を表現するのに役立ちました。 さまざまなアート素材を使ってストレスを取り除くことができます 私は今ではあまり心配しなくなり、怒りに対処する方法も学びました。  アートセラピーがなければ、私はおそらくまだ心配してストレスを感じるでしょう」 11歳
 
他の子どもたちについても、ぜひリンクをご覧ください。

https://www.baat.org/About-BAAT/Blog/143/Primary-school-children-tell-us-about-their-art-therapy



Mindfulness And Meditation Will Now Be Part Of The Curriculum In 370 Schools In England
「マインドフルネスと瞑想が、イギリスの370校のカリキュラムの一部になります」

心理的なケアは、英国では当たり前な習慣。
それに加えて、ついに、370もの学校で、マインドフルネスと瞑想が取り入れられるらしい。
米国のボルチモアでも。
子どもたちが、暴れたり大声を出すのは、感情の解放のやり方がわからないから。
カリキュラムに取り入れられたマインドフルネスで、子どもたちは、心を整えることができているようです。

英国では8人に一人が精神疾患を抱え、精神疾患を抱えた子どもたちの5人に一人しか、適切な治療を受けることができていないという。

この取り組みが、日本にも広がることを期待する。

Mindfulness And Meditation Will Now Be Part Of The Curriculum In 370 Schools In England



Art Therapy and Neuroplasticity: How Creativity Can Heal Trauma
「創造性はどのように外傷を癒すことができるか」

本文より
「神経生物学、神経可塑性、および右脳と左脳半球のさまざまな機能を含む研究、ならびにミラーニューロンシステムの発見を通じて、アートセラピーが治療に効果的であるという科学的証拠を提供することが可能になりました。」

アートメイキングそのもののプロセスが、どうやらトラウマ治療に役立つと言っています。

アート表現で、心の痛みを外在化することができ、それについてセラピストと客観的に考察できることが、kっパンの精神治療や心理療法と異なる点です。

詳しくはこちらを下記をご覧ください。

https://artofcounselingstpaul.com/2015/11/12/art-therapy-and-neuroplasticity-how-creativity-can-heal-trauma/?fbclid=IwAR0alJCv58HGY-9qLoWXmAiioi6AteYbbhGpMfMb622cV89Elb9W6rRPPic



Five ways hospitals are using art to help cancer patients
「アートを使った、がん患者を助けるための5つの病院の5つの取り組み」

英国の病院が患者の体験を改善するために創造性を活用している5つの方法が紹介されています。

こんなふうに日本中の病院が、アートの取り組みを始めることを夢見ています。

1、ロンドンのGuy’s Hospitalでは「リラクゼーションルーム」
非宗教的な瞑想スペースで「自然環境から世界の都市(例えばバンコクの騒音)」などの音を選択できます。
モニターにはその地域のリアルタイムの温度や気候が文字で紹介され(雨が降っていればその音も聞こえる)イメージを広げることができる。患者は竹や布製の家具に座ってそこで過ごせます。

2、リバプールのAdler Hey Children’s Hospitalでは「拡張現実(AR)」を導入し、自分で選んだキャラクターと一緒に病院内を飛び回ることができます。注射を打つ際も、腕にそのキャラクターがいてくれて子ども不安を軽減し治療時間も短縮される。

3、マンチェスターのThe Christie cancer hospitalでは、壁に様々な動物の絵を描きジャングルを創りました。床には足跡もあります。

4、Sheffield Children’s Hospitalではワークショップを開催して、患者のやる気を高め、より大きな目的意識を与え、自己表現を助けています。陶芸、創作、ウクレレなどなど。
5、ロンドンのChelsea and Westminster Hospitalでは診察室にデジタルアートを準備し、自然や都市の環境とか、木彫りやパンを焼く様子まで映像と音を提供します。患者が見たい映像を選択し、治療中の気晴らしに貢献している。



EMERGENCY POET’ OPENS LITERARY ‘PHARMACY’ TO SUPPORT MENTAL WELLBEING
「キール大学の文学研究者は、精神的健康を支援する方法として、文学的な「応急処置」を提供する「詩の薬局」を開設しました。」

「薬局」は、精神的健康と幸福に重点を置いた詩と創造的な執筆の新しいセンターにもなります。

詩人のデボラ・アルマさんは、次のように述べています。
「詩は、気分に合わせたり、気分を変えたりするのに非常に役立つと考えており、心の健康をさまざまな形で支援します。

メンタルヘルスに、「医療ではないアプローチ」が研究されているようです。
アートセラピ―だけでなく、感覚や情緒を表現することで健康を回復し、維持していく。
西洋医学に偏ってしまうのは、実は東洋の日本だけになってしまうかもしれません。

出典元:英国キール大学

https://www.keele.ac.uk/discover/news/2019/october/emergency-poet/literary-pharmacy.php?fbclid=IwAR3saVuMjXIz-te8Tm6X25-6ktxsJNSEvT7lpYRr8GDUiiQZs2b6MIZmpto



‘I take out anger and sadness through art’
「怒りや悲しみをアートを通して取り除く」

聴覚と言語に障害を持つ、アミナ・アンサリさん。
英国ウィンザー城の王室にもその作品がある彼女は、パキスタンのイスラマバードでアー
トスタジオを開きました。
そこでは、家族を失った人や、問題を持つ人たちが集まり、ネガティブな気持ちをポジテ
ィブにしていくアート表現をサポートしています。
彼女自身、アート表現で障害を克服することができたと言っています。
短い映像です。
ぜひご覧ください。

クエストも、こんなスペースを持つ夢があります。

from BBC NEWS
https://www.bbc.com/news/av/world-asia-49981471/i-take-out-anger-and-sadness-through-



Meet the team behind the first-ever hospital art gallery at Aberdeen Royal Infirmary
アバディーン王立診療所で初の病院アートギャラリー○

アバディーン(英国)王立病院に、アートギャラリーがあります。
病院に、美術館があるんです。

患者、その家族、看護師、ポーター、など、病院には様々な人がいて、その人たちのみな何かしらの心配を抱えています。

そんな空間に、ギャラリーがあることが、どれほど人々の心を癒してくれるか。
10年以上にわたって、病院のアートディレクターとしてリードしているサリー・トムソンさんは
「病院にアートを展示して環境を改善するだけで、そこで過ごす全ての人の気持ちが軽くなります」と言っています。
”芸術と幸福の間のポジティブなリンク”と言うメッセージは、刺激的です。

「ギャラリーにある作品を鑑賞するだけでなく、患者もスタッフも自分でアートをする機会がある」というコメントは、まさに、私たちの願い。

詳しいニュースは、こちらのリンクへどうぞ。



El Paso Children’s Hospital to host first Therapeutic Art exhibit
○アートによって治療がどれほど迅速に進むか○

エルパソ、テキサス(CBS4)—エルパソ小児病院は、小児がん啓発月間を記念して、9月に初めての治療芸術展示会を開催します。

小児病院に入院している子供とその家族、約200人のアートが美術館に展示され、さらにそれが販売されています。

この病院の、セラピュ―ティックアートコーディネーターのKay-Lochausen氏によると、
“it’s amazing how quickly the treatment goes by.
「アートによって、治療がどれほど迅速に進むかは驚くほどである」と述べています。

世界では、アートが健康に寄与することが、次々と証明されています。

ニュース映像をご覧になりたい方は、こちらのリンクからどうぞ。
https://cbs4local.com/…/epch-to-host-its-first-therapeutic-…



Starbucks to offer mental health services as new employee benefit
☆米国のスターバックスのメンタルヘルスへの取り組み☆

スターバックス(SBUX)のCEOであるケビン・ジョンソン氏は、シャイ向けの新しい福利厚生の取り組みとして、メンタルヘルスを導入することにしたようです。

シカゴで、米国およびカナダからストアマネージャー12000人を招き、コーヒー大手企業としてメンタルヘルスへの取り組みが議題に不可欠であると気づいたようです。

欧米においても、社員が社内の支援プログラムを受けることへの懸念があるようで、そのための対策のようです。

日本でも、メンタルヘルスが特別なことではなく、当たり前のこととして定着するといいですよね。

スターバックスさん、アートセラピーいかがでしょうか?

以下、Yahoo Financeからの映像です。
インタビューの中盤からこのテーマを話しています。

https://finance.yahoo.com/…/starbucks-to-offer-mental-healt…



Art as Therapy By Professor Susan Hogan 
療法としてのアート スーザンホーガン教授

ホーガン教授は医学の歴史に関心を持ち、「芸術と狂気とリハビリテーション」における芸術の役割との関係について幅広く書いてきました。

Her books are:
•Feminist Approaches to Art Therapy (as editor, 1997);
•Healing Arts: The History of Art Therapy (2001);
•Gender Issues in Art Therapy (as editor, 2003);
•Conception Diary: Thinking About Pregnancy & Motherhood (2006);
•Revisiting Feminist Approaches to Art Therapy (as editor, 2012);
•The Introductory Guide to Art Therapy (with Coulter, 2014);
•Art Therapy Theories (2014).

ホーガン教授の「アートセラピ―について」の論文をご紹介します。
この内容は、あくまで要約のため、全文を読みたい方は英文になりますが、こちらのリンクからご覧ください。

https://www.news-medical.net/health/Art-as-Therapy.aspx

1、療法としてのアート
2、セラピーの空間(場づくり)
3、実用に際して
4、アートの素材について
5、スペースの共有
6、契約に基づいた守られた空間について

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1,療法としてのアート

芸術療法(アートセラピー)についての最も一般的な誤解は、
“セラピストが作品を解釈し、その中に隠されている意味を解読し解明すること”ということです。
セラピストの役割は、主にクライアントの洞察力を深めることを助けること。

アート制作をしながら気持ちの探求が促されます。
その気持ちを表現することが難しいというクライアントの場合、素材をどのように選び使用したかを観察し、彼らの比喩的な表現や記号をどう受け止めていくのかが大切になっていきます。
アート素材には、感情を呼びこす力が宿っていますから、こういった洞察は重要になるだけでなく、そのアートの制作過程に秘められたクライアントの心の物語に寄り添っていくことができるのです。

グループワークの場合は、そこで分かち合われるグループ参加者間の相互作用にも着目し、探求することもできます。

2, セラピーの空間(場づくり)

多くのアートセラピストは、クライアントの作品を壁に貼ることが治療を促進させるという見解を共有しています。クライアントはその場を訪れるたびに、自分の作品が壁に貼ってあることで自信を持つのです。

そこに作品が存在していることで、クライアントの安心感と継続性を生み出す効果があるのです。よって、理想的なアートセラピールームは、アートセラピストが完全にコントロールできる場所です。

壁に貼ったままにできない場合や、クライアントが壁に貼ることを望まない場合のために、鍵のかかる作品保管のためのロッカーを用意することでその安全は保たれます。

3, 実用面 
屋外スペースに開いている窓のある部屋であること。
自然光が入ることも大切です。
水彩などの画材、あるいは手洗いのための洗面台は不可欠です。
床は出来ればカーペットではなく掃除しやすいもの、あるいは床でも作業しやすいもの。
狭すぎず、イーゼルなども置けるスペースが理想です。
その他、アート作品の保管についても触れています。

4, アートの素材・画材 
アートに使う素材や画材は見える位置に置き、取り出しやすいこと。
出来れば基本画材から、専門的なものまで用意します。
水性画材、様々な筆先のブラシ、PVAなどの混合用の素材、クレヨン、パステル、チョーク、マーカー、様々な質感の紙類、マスキングテープ、接着剤などの固定材、粘土などなど、数多く紹介されています。
そして、何よりもセラピストは、その素材で何をすることができるのかについて理解しておくことが重要です。

5, スペースの共有 
アートスタジオの環境の整理。
汚れや乱れがあることで、利用者たち同士の関係が急速に悪化していきます。
また、作品の展示の仕方や、片付けなども大切な要素となります。

6、契約に基づいた守られた空間について
スタジオの安全な境界の中で、アートセラピーは行われます。
さらに、クライアントに割り当てられた一定の時間、毎週同じ素材の準備など。
不安定な経験をしてきたクライアントにとっては、定期的で予測可能なスペースは重要な意味を持ちます。
セラピストは、個人あるいはグループをあらゆる種類の侵入から守る努力をしていきます。



It’s time to recognise the contribution arts can make to health and wellbeing’
「今こそ、アートが健康と福祉に貢献できることを認識する時です」

英国の慈善団体であるArts and Mindsは、過去7年間、ケンブリッジシャーでうつ病、ストレス、または不安を経験している人々のために毎週アートワークショップを開催しています。
報告によると、不安感が71%減少し、うつ病が73%減少したことが明らかになりました。 参加者の76%が、幸福感が増し、69%がより社会的に所属していると感じたと評価されました。



②‘Fine Art Is Good Medicine’:
    How Hospitals Around the World Are Experimenting With the Healing Power of Art
    世界中の病院がどのようにアートの癒しの力を使っているのか。

    2017年のデンマークの研究では、病院の待合室のアートと患者の満足度が比例していたという。
    2007年の英国の論文は、芸術が「患者の健康だけでなく、入院期間や痛みの許容度などの健康結果にもプラスの効果をもたらす」ことを実証しました。
   そして昨年、モントリオール美術館は地域の病院とのコラボレーションを発表し、医師が患者の博物館訪問を処方できるようにしました。

    コペンハーゲン大学の教授であるマイケル・マリンズは「アートは、患者の注意をそらすことで痛みを減らすことができる」という。

   世界でアートの癒しの力を実践している病院はたくさんありますが、モントリオール美術館の取り組み以外は、そのほとんどが、アートを鑑賞することを目的としています。
   アートは、それを観ることにとどまらず、創作していくことでさらなる癒しの力が発揮されていきます。

  クエストでは、その試みをアートワークカフェで長年実践してきました。
  日本でもこんな記事やニュースが当たり前に報道される日が来るはずです。

   https://news.artnet.com/art-world/how-hospitals-heal-with-art-1606699?utm_content=from_&utm_source=Sailthru&utm_medium=email&utm_campaign=US%2010:20%20a.m.%20newsletter%20for%207/30/19&utm_term=New%20US%20Newsletter%20List


①Creativity and Recovery: The Mental Health Benefits of Art Therapy
 創造性と回復:アートセラピーの精神的健康上の利点

アートセラピ―は、「自己発見」、自尊感情を高める」、「感情の解放」、「ストレス解消」、などに効果を上げ、メンタルヘルス治療の補足として使用されてきました。

 https://www.rtor.org/2018/07/10/benefits-of-art-therapy/