柴崎 嘉寿隆ブログ「自分セラピー」

ばばトーク、これぞ心理学

先日のこと。

母親を入所している高齢者施設から連れ出して、ランチ。

月に一度のボクと二人のこのランチ会を、

母はとても楽しみにしてくれている。

 

食べるものは決まっている。

 

とんかつ、トンカツ、豚かつ、とんかつ、てんぷら、

トンカツ、豚かつ、うなぎ、とんかつ、

トンカツ、豚かつ、しゃぶしゃぶ

 

と、まあ、書き方を変えても、ほとんどとんかつ。

 

肉食系の91歳。

 

体は車いすから立ち上がることも出来ず、

完全介護状態なのだけれど、

連れ出した時の食欲たるやものすごい。

 

先日のこと。

「今日は、何食べようか?」

きっと、とんかつと言うだろうと予測していたけれど、

 

なんと

 

「天ぷらがいいねぇ」

 

店に入り、車いすごとテーブルにつき、右隣にボクが座る。

リウマチと骨折で、肘がもう曲がらない。

特別製の木のフォークとスプーンを駆使して、上手に口に運ぶ。

 

 

一つ置いた隣のテーブルに、何十年も前の乙女たち4人が座っている。

楽し気な会話が聞こえてくる。

言葉が止まらない。誰かが常にしゃべっている。

 

最初は、ただ話し声、だったのだけれど、

次第に耳に言葉が入ってくる。

 

「ブログをさぁ、書いた人に、あんな言い方で返すなんて下品よねぇ」

 

おっおっ!

 

70は優に超えているとみられるみなさんからの言葉とは思えない。

 

「ほら、闘病してかんばっているんだから、あんな言い方しなくたっていいのに」

 

何やら怒っていらっしゃる。

 

「だいたいさぁ、なんでもかんでもインターネット

使えばいいってもんじゃないのよ。

あたしたちの若い頃は、なんかいいことあったって、

ペラペラ人にしゃべるなんてことはしなかったわよねぇ」

 

「そうそう、おいしいもの食べたからって、

インスタグラムって言うの?

あれに写真載せて、おいしいおいしいって」

 

ほー、インスタグラム!

 

「だいたい、自慢するなんて恥ずかしいことなのよ、ねぇ」

 

「そんなふうに、自分こと知らしめなくたってもいいのにねぇ。

そおっと自分らしくしていればいいのよ」

 

「ほら、メールして返事がないからって、

私たちの頃なんて、そんなの当たり前。

郵便受け見に行って、ソワソワするのがいいんじゃない。」

 

「あらっ、○○ちゃんは、誰からのお手紙待ってたのぉ?」

 

「やあねぇ、そんなの忘れちゃったわよ、おーほっほっほっ!」

 

「何日も、いえ、それどころじゃないわね、

何か月も待ってから返事が来たときのうれしさって、

今の若い人たちわかんないわよね。なんだかかわいそう」

 

この4人の会話は留まることを知らない。

 

ボクは、母親との会話をすっかり忘れて、耳ダンボになってしまった。

 

母は、、、、黙々と食べ続けていました。

 

今日の学び

 

「自慢することは恥ずかしいこと」

「自分を知らしめる必要はない、自分らしくしていればいい」

「待つことの喜びを知れ」

 

お言葉、ありがとうございました!!

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投稿者:柴崎 嘉寿隆

クエスト総合研究所代表取締役  JIPATTディレクター(Japan International Program of Art Therapy in Tokyo Director)、 NPO法人子ども未来研究所 理事長