柴崎 嘉寿隆ブログ「自分セラピー」

オ・ヤサシ巨人BFG

イギリスの作家、ロアルド・ダールのファンである。
初めての出会いは『 お化けモモの冒険 』

児童文学なのだけれど、少々大げさに言えば、この物語に出会ったことで私の「自己分析心理学コース」が生まれた、といってもいいと思う。
それはまた、別の機会に。

ロンドンの郊外に、ロアルド・ダール博物館があります。
のどかな田舎町で、小さなかわいらしい博物館の中には、ダールが作品を作り続けた書斎も復元されている。

ロアルド1 ロアルド2

36年間住んだこの町で生み出された数々の作品は、心躍る物語ばかり。
ティム・バートン監督が、いくつもの作品を映画化しているのはご存知の方も多いでしょう。

今年になって久々にまたロアルド・ダールの作品に触れてみました。
『 マチルダはちいさな大天才 』
天才的頭脳を持つ幼いマチルダは、父親から頭がおかしいと思われ母親からも軽く扱われている。
唯一学校のジェニファー先生だけが彼女の才能を認めるのだけれども、この先生もいじわるな校長から毎日のように虐げられている。
そして、この二人が繰り出す痛快な大復讐劇。
今でもロンドンでは舞台で毎日上演されているし、何回も映画化されている。

これが抜群に面白くて、私は他の作品も読みたくなって手にしたのが、今日紹介する『 オ・ヤサシ巨人BFG 』

この、『 オ・ヤサシ巨人BFG 』をスピルバーグとディズニーが映画化したのです。
すでにアメリカでは7月に公開済み。

ある眠れない夜に、孤児院にいるソフィーが巨人にさらわれる。
でも、その巨人は心優しい巨人でした。
ソフィーが寂しそうなので、連れていてしまったのです。
でもその巨人は、巨人国の10人いる巨人たちの中で最もちびな巨人。

BFG以外の巨人たちはニンゲンマメ(人間)を食べるのが大好きで、夜な夜ないろんな国の人間たちを食べている。
「ウェールズ産のニンゲンマメは魚くさい」とか
「デンマークのニンゲンマメはラブラドールの味がする」とか
「日本のニンゲンマメは、たいそう小柄で最低6粒は食わんと満腹感が味わえん」とか
「ノルウェーのニンゲンマメは、かなり大柄で間食用なら2,3粒で間に合う」とか。

でも、このオ・ヤサシ巨人はニンゲンマメを決して食べない。
食べないどころか、その代わりに素敵な夢を毎晩集めて人間の子どもたちにその素敵な夢を夜な夜な見せている。
寝ている間にそーっと枕元にラッパを使って夢を吹きかける。

そしてついにソフィとオ・ヤサシ巨人は、ニンゲンマメを食べる巨人退治に乗り出すことにする。
でも戦いではなくて、あの、素敵な夢を見せる力を使って。

ファンタジーではあるけれど、世界中に巨人の物語は存在しています。
(いえ、かつて本当に存在していたのかもしれませんけどね)
ギリシャ神話にも、北欧の物語にも、そう、ジャックと豆の木もガリバーも。
ちなみに、タイトルのBFGは ビッグ・フレンドリー・ジャイアントの略。

人間の無意識は、様々な空想を生み出していく。
ないものを描き、そのないものを作り出していく。
イメージは無意識世界からやってきて、現実の世界に形となって現れてくる。
ファンタジーは確かに現実とは程遠いお話なのだけれども、その現実を生きるヒントを私たちに与えてくれるのです。

映画もきっとステキだろうけど、イメージの力を養いたいのであれば、文字を読む事をお勧めします。

投稿者:柴崎 嘉寿隆

クエスト総合研究所代表取締役  JIPATTディレクター(Japan International Program of Art Therapy in Tokyo Director)、 NPO法人子ども未来研究所 理事長