柴崎 嘉寿隆ブログ「自分セラピー」

グロースセミナー

半月ほど前のことですが、今年で27回目を迎えたNPO子ども未来研究所のセミナー
『 グロースセミナー 』のファイナルがありました。

今年から、リーダーをウッディこと内田隆弘さんに任せ、私はサポート。
新生グロースの誕生でした。
26年続けてきたプロジェクトリーダーを、誰かに継承するというのは、
それなりに感慨深いものですね。
私にとっても、グロースのない夏は、新しいスタートとなりました。

グロースセミナーを知らない方のために、

グロースセミナーは、
「自分で決めて、自分で行動して、自分でほしい結果を創り出していく」
というプロセスを学ぶ自主自立のための、小・中学生向けプログラムです。
事前の「セットアップセミナー」の1日、4泊5日の北海道士幌高原でのセミナー、
そして「フォローアップセミナー」の1日があり、その全体の期間が約60日間の
トレーニングです。

学校や家族の中で「子ども」である彼らが、「自分だけの意思で決める」
ことはなかなかありません。
「自分で決めなさい」と言われても、必ずと言っていいほど親や先生が介入します。
「それでいいの?それでほんとうにいいのね!」といった具合に(笑)
上手くいかなければ、「だから言ったのに」とダメ出しまでされるのです。

グロースでは、子どもたちが主人公であり、子どもたちが自分で何事も決めていきます。
そして彼らが決めたことを、私たちスタッフが全力でサポートするのです。

決めたとおりに上手くいくことが目的ではなく、上手くいこうがいかなかろうが、
その過程を大切に見守ります。
決めるまでのプロセスも、決めてからのプロセスも。

ですから、子どもたちが決めたことには、大人はほとんど介入しません。
でも、自分で決めていないこと、誰かに合わせたり、自分の意思を感じられないことに関しては、とことんチャレンジします。

最初は子どもたちは戸惑います。
自分で決めるといっても、10人以上、時には20人以上が共に過ごすわけですから、
総意で決めるには、話し合わなければなりません。
ちなみに、グロースではじゃんけんや多数決は選択肢にありません。
必ず、全員の総意で決めていくのです。

子どもたちが話し合うと、影響力のある子どもに従い始めたり、自分の意見を
言わなかったり、その場にいるトレーナーの顔色をうかがったりし始めます。

ですから決まるまでの時間は、相当かかります。
誰がリーダーになるかを決めるだけで、2時間かかることもあります。
通常の夏のキャンプでは、その後のスケジュールに影響しますから、
そんなにはまっていられませんが、グロースはひたすら待ちます。
グロースでは、「決ること」以上に「決ること」を大事にしていますから、
こういった試行錯誤することは、子どもたちにとってとても大切な時間になるのです。

「 試行錯誤の時間が心を育てる 」と言います。
子どもたちにとって、このグロースセミナーは学校やそのほかの民間のキャンプとは
全く違う体験になっているようです。

9月19日のフォローアップで、感動したことがあります。
グロースを卒業した、通称「グロースっ子」たちが、10人も集まりました。
高校生、大学生、社会人、なかには子育て中のママも。
みんなサポートに駆けつけてくれた仲間です。

トレーナーのウッディが、突然彼らをステージにあげて
君にとってグロースって何なの?と問いかけました。
グロースが好きで、中には小1から中3まで連続して参加したグロースっ子もいます。
そこまでグロースを愛する理由は何か、是非とも知りたいものです。

皮切りは、グロースでは知らない人がいないM。
「グロースは、私そのもの。自分で決めることも、自分で一歩踏み出すことも、
自分でほしい結果を作り出すことも、すべて自分次第だということを、
子どものころに学び、それ以来、そのことは自分と一体化しています。」

心動かされました。

後に続くほかのグロースっ子たちも、
「自分で決めることは当たり前になっているので、何がいいのかわからない」とか、
「このグロースがなかったら、学校生活がどうなっていたのかわからない」とか。

子どもたちの人生に大きな影響を与えていたことを、彼らの言葉を通して感じさせられた
瞬間でした。

さて、これを読んでくれた、あなた!

自分の意思でどれだけ決めて、毎日を生きているでしょうか?

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投稿者:柴崎 嘉寿隆

クエスト総合研究所代表取締役  JIPATTディレクター(Japan International Program of Art Therapy in Tokyo Director)、 NPO法人子ども未来研究所 理事長

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