【受講生】JIPATT受講生の声 菅野千絵

「なによりもアートは身近な存在である」

 なぜ、JIPATTを受講しようと思ったのですか?

 私は約20年近く音楽療法士として仕事をしていますが、クライアントさん一人一人のニーズによってセラピスト側のアプローチも様々に変化させながら臨床場面を経験してきました。しかし、出会うクライアントさんによっては「今必要なのは音や音楽ではない」という場面がありました。 例えば、身体的に痛みがあり、音が刺激になってしまったり、音にトラウマを抱えていて怖く感じたり、音楽が必要以上に感情に入り込んでしまう恐れがあったり…。そんな時には、感情や痛みを色で表現してもらったり、身体の状態を描いてもらうことを実際に行うことがありました。 そして、描くことがクライアントさん自身の表現の可能性を広げると同時にセラピストにとっても対象者理解の助けになるという経験をしました。

 そこで、もし実際に自分が行っている音楽療法セッションで、必要に応じて音楽だけではなくアートを臨床的に提示することができたら、クライアントさんのニーズにあったアプローチの選択肢がより広がるのではないか?と思ったことが、アートセラピーに興味を持ったきっかけです。

 私はアメリカの大学院で音楽療法を学びましたが、セラピー分野は残念ながら、未だ海外の方が専門的学問として発達しており、臨床も盛んです。再び海外で学びたいと思いましたが、仕事と子育てに奮闘中で留学は困難であることから、なんとか日本にいながら国際レベルで学ぶ方法はないだろうかと探し、やっと出会えたのが、このJIPATTです。

 

すでに音楽療法士として活動されている千絵さんにとって、クエストの1年間の学びはいかがでしたか?

   様々なバックグラウンドを持った仲間と出会い、丁寧にサポートしてくださる先生やスタッフの方々がいる「安心安全」な環境で学ぶことができました。

   そして、多くの臨床場面で行われるアートセラピーの可能性とアプローチを学ぶ中で、新たな発見や大きな気づきが沢山あり、「これは音楽でいう…かな」や、「これは音で関われない時には効果的かも」など、自身の臨床にも様々な可能性が見えてきました。

   そして、何よりもクエストでアートを通して自己分析や洞察を行ったことで、新たな自分と出会い、混乱と(?!)と驚きの連続で、先は長く深いな…と感じた1年でした。

 

アートにはどんな可能性があると思いますか?

   今、自分がどこにいるのか?今、感じていること、そして、まだ自分でも気が付いていないことも、時にメッセージとしてアートに含まれると思います。また、具現化されたり、投影されたり、それを自分の目で様々な方向から見て、自分の手で触れることができる「安心感」もあります。そして、アートを見返してみたり、変容させたり、壊して再構築したり、人に見せたり、見てもらったり、何かを加えてもらったり…。

   アートは必要に応じる順応性があり、表現を助け、人とのコミュニケーションに様々な可能性を広げ色付けてくれるものだと思います。 

   そして、なによりもアートは身近な存在であることが、日常生活にも取り入れやすいツールでもあると思います。