アールブリュット3部作ブログ
第2回『草間彌生 わが永遠の魂』
先日小雨の降る中、国立新美術館で『草間彌生』の美術展に行ってきました。
美術館エントランスは、赤いドットの布で巻かれた木々が出迎えてくれました。
平日の早い時間に行ったにもかかわらず、かなりの混雑ぶり。
草間彌生というアーティストの人気ぶりがうかがわれます。
ご存知の通り、草間彌生は幼いころから幻聴や幻覚といった統合失調症特有の症状を抱えています。
そして草間自身が言うように、「人生は芸術によって開かれた」のです。
芸術がなければとうの昔に死んでしまっていた、とも。
作品の評価は世界的なものですが、この美術展に足を運び、肌で彼女の表現を味わってみてほしい。
世界が評価しているからではなく、溢れるエネルギーの中に身を置いてみてほしいのです。
まさに、草間彌生の今日までの人生のエネルギーの河を「旅をする」ような気分です。
展示は、2部構成。
第1部は、2000年以降の作品群。
一番最初に、2014年の「生命は限りもなく、宇宙に燃え上がっていく時」という草間彌生唯一の富士山が出迎えてくれます。
それを観ていると、その場から離れられなくなってしまうほど、惹かれてしまう。
そして、ようやく足を動かして、広大なホールに一歩足を踏み入れると、なんとそこには、100枚以上の作品と、スカラプチャー。
そこはまるで、ファンタジーの世界であり、宇宙であり、生命の根源、胎内のよう。
そして、一枚のアートを見つめていると、その中に、また宇宙があり、生命があり、魂がある。
このホールの第1部の展示は、携帯での撮影が許されている。
これも画期的な事のように思う。
第2部は、彼女の初期の作品から、海外で高い評価を受け始めたころの作品が並んでいる。
フランスのアーティスト、ニキ・ド・サンファルがそうであったように、初期の作品は重く沈み込んでいくような作品が目につく。
そしてある時突然のように、POPなモチーフが数多く登場してくるのです。
芸術は、技術である前に、人間の根源的な表現の一つ。
人類は、何万年も前の洞窟画から、そのアート表現は途切れなく、現代まで続けてきている。
表現することが、心を解放してくれるから。
心の表現だからこそ、普遍的で、言語を超えてコミュニケーションが可能になる。
草間彌生は、アートによって自らを解放し救い出してきた。
そして、魂の言葉を色と形に変換させてきた。
それは、彼女が綴る言葉以上に、伝える力を持っているのです。
これこそが、アートセラピー。
最近思う事は、臨床の現場だけでなく、うつ病からの復帰を助ける復職支援施設や、障がい者を助ける生活支援施設、増大している発達障碍者向けの施設からの依頼が多いという事。
アートセラピーに対する理解が増えていく中で、そういった仕事を担う機会が増えていくことを強く感じるのです。
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