アートセラピーとは
アートセラピー(クリエイティブ・アーツ・セラピー)とは、主に欧米の精神医療の中で研究された、心の治療やケアに役立てるための心理療法で、精神疾患や心理的な病を持ったクライアントや様々な障害を持つ方の治療に役立ちます。
また、治療を目的としたものばかりではなく、健康な人の悩みや苦しみを癒し、自己成長や自分らしさを取り戻すことにも役立ちます。
アートセラピストは、クライアントが自由にアート表現できる環境を提供し、クライアントの心の表現を的確に受け取ります。クライアントが言葉では表現しきれない深層無意識を共有し、治療に役立てていきます。だからこそ、それを受け取り、治療に役立てるアートセラピストには、長期間の専門的な学びが必要となります。
日本で、今まで体系立てて学ぶことができなかったクリニカルの分野に対応し、治療
効果を高めるためのアートセラピーを『 JIPATT 』では学んでいくことができます。
在校生・卒業生の
クリニカルアートセラピーの提供及び活動場所
〔病院〕平川病院/救世軍ブース記念病院/彦根市立病院/医療法人社団和康会 三橋病院/鈴木慈光病院 / ケアハウス 東総園
〔障害者生活支援センター障害者支援〕新宿区立障害者生活支援センター / 滋賀県立むれやま荘 / 社会福祉法人あかねの会
〔身体障碍者施設〕ライフゆう
〔介護施設〕カーサプラチナ日吉/まんてん堂兵庫須佐野/ケアビレッジ /デイホーム上馬/ラビアンローズ /アイムス赤羽/フレンズケアセンター / 愛コミュニティ田島
〔就労支援施設〕ラマモンソレイユ/ Liva /ジョブサ品川区 / こころのフィットネス
〔社会福祉法人〕社会福祉法人みなと舎 / あかねの会
〔放課後ディサービス〕NPO法人ぱお/児童発達支援放課後等デイサービス つなごーよ&あそぼーよ/エスペランサNEXT /ボーダレスアートスタジオ コドモダスシルヴァン / いおぎみんなの学校
〔フリースクール〕ゆいまーる学園
〔保育園〕ちびくろ保育園
〔支援学校〕神戸市立友生支援学校
〔子育て支援〕ほっこりスペース
〔発達相談支援教室〕わいわいアリス
〔青年海外協力隊〕ストリートチルドレンの保護施設(NGO)
〔子どものアートセラピー教室〕心のアトリエ / ビッグマウンテン / おたもあ商店 / まんぷくSUN
〔その他〕エン・ジャパン / ミルキーの会(ダウン症児) 他
※2020年6月現在
《 就労支援施設 》
株式会社リヴァ
リヴァトレ事業部エリアコーディネーター
森田沙耶さん
普段のプログラムでは、社会復帰に向けたご自身の目標や課題克服を目指し、職場を意識して取り組んで頂くことがメインですが、アートセラピーの時間は、もっと自由に夢中になれる時間を皆さんが過ごされているのを感じます。
利用者さんの中には、相手を尊重するが故に自分の気持ちを二の次にしてしまう方も。そんな方にとって「アートを通じて、自分の気持ちに触れること」はとても貴重です。ご自身の気持ちを二の次にしがちな方が、自分の心に寄り添い、気持ちの変化に敏感に気づいてあげることで「自分のやりたいこと」を見つけ出す力につながると思っています。
また、私たちスタッフは「“リソース”(自分を元気にするもの、自分自身の強み)を増やしましょう」とよく利用者さんにお伝えしています。アートセラピーはまさにリソースを増やすことを“体感”出来るものだと感じました。頭で考えるだけでなく、「アート」を使うことで自分の中に眠るリソースにアクセスしやすくなるようです。
社会復帰された方が「自分が作ったものを時々会社で見返して元気をもらっている」と話してくれたことがありました。そんな風にアートセラピーは、利用者の力になっていると実感しています。
《 障害者生活支援 》
新宿区立障害者生活支援センター
施設長/精神保健福祉士
和賀未青さん
施設スタッフにはない視点で、利用者を見てくれるという良さがありました。利用者の背景より「今、アートに取り組んでいる“そのままの自分(利用者)”を見てくれる存在」それがアートセラピストの方々だと思います。
精神的な疾患を持っていると、「自分を表現したらおかしいと思われる」という恐れを抱いている方が多くいます。しかし、アートセラピーでは、安全な場で安心して自分を表現できるという体験ができます。
私自身、“表現”というのは、生きるために絶対必要なものであり、豊かさにつながるものと感じています。特に内的世界が非常に豊かで、それらが言葉にならずに、無意識にギュギュギュッと抑えがちな利用者達にはたくさん表現をすることで、抑えているものを解放してほしいと思っています。
また、私たちは誰でもいい時もあれば悪い時もあり、そんなバイオリズムがあらわれるアートを通して、利用者が自分の人生に寄り添えるようになればと感じています。それには、ただアートをするお絵かき教室ではなく、理論を基に利用者にそったアートセラピーを提供していただけるのはありがたいです。
【病院】
●セラピストとしての在り方を、根底から見つめ直す体験となっています。ただ在ること。寄り添い、聴くことの大切さを学んでいるように思います。
●高齢者の方のペースに寄り添いつつ、興味関心や身体的な可能性を探りながら画材や提供方法を考える体験でした。
●アートが生きる糧になっていること、そして、命のエネルギーが表現されることのすばらしさを目の当たりにし、感動することが多かったです。
【障害者支援】
●成長を共に体験できる素晴らしさを実感しています。
●クライエントを通して、人を知り、病の症状を知り、私に知識と共に人としての大いなる力を与えてくれます。
【身体障碍者施設】
●意志疎通や身体的な不自由さ持つ方へのアートセラピーにより観察力がつきました。またアートセラピストの存在意義や役割について考えるきっかけになりました。
【介護施設】
●初めて継続して関わる施設だったため、最初はプログラムを考えるのに苦労しました。でも温かい利用者さま方のおかげでいつの間にか自分にとっても楽しい場となっていました。
●参加者の特性を理解し、グループであっても誰に標準を合わせて素材を選ぶか、あるいはどのような代替素材を準備するか等、利用者の立場に沿って考えることの大切さを学びました。
●認知と身体的な不自由ある方へのプログラムづくりを学びました。またアートセラピーの能動的な活動によりイキイキとする利用者様の姿から人としての尊厳を守るという事の大切さを学びました。
【就労支援施設】
●利用者の方々のアートや表情の変化について、協力的で熱心なスタッフの方々と共に喜んだり考えたりを繰り返した体験は、今後セラピスト活動をする上で何より貴重な体験となりました。
●発達障害、統合失調症、強迫観念、うつ病など、さまざまな症状を抱えた方が就労に向かうために必要なSSTを施設で行う一方で、心のケアや自己肯定感の向上、自信を知ることなどの分野でATが有効なのではないかという仮説のもと、実習を行わせていただいています。
●年齢と症状の異なる成人向けのプログラムづくりの勉強になっています。アートセラピーにより心の回復の過程も感じることができました。
【放課後ディサービス】
●とても楽しい時間でした。同時に、同じことを同じペースでやっていくことが当たり前になっていた自分にとって、一人一人本当は好きなことやペースは違うということに、こどもたちを通して改めて気づかされました。
●言葉でのやり取りができにくいだけに、アートを通して子どもたちと深く心に触れ合えたことがとても楽しかったです。
【発達相談・支援教室】
●JIPATTでの学びが現場に活かせ、学び前、学び後の、子どもたちの変容の大きさに感動する日々となっています。
【保育園】
●子どもたちのコミュニケーションの様子をアートを通じて見ることができ、保育園の先生方からフィードバックをいただくことができた貴重な機会でした
【支援学校】
●子どもたちの育ちをアートから知ることができ、他の教員ともアートを通じて子どもの様子を話し合うことができました