芸術療法を日本国内で学ぶには

日本国内で、「芸術療法」と呼ばれている分野は、心理療法としてつまり医療分野で主に使用される言葉として使用されています。

しかしながら、この芸術療法を心理療法として正式に学ぶ機関が、残念ながら国内にはありませんでした。

日本国内での心理療法は、臨床心理士資格か、公認心理士が公的に認められている資格であり、医療分野での活動が許されていますが、この芸術療法はその活動の一部として取り入れられているだけで、専門の学問は国内では提供されていません。

英国では1964年に「BAAT ( The British Association of Art Therapists )」が設立され、米国でも1969年に「AATA ( The American Art Therapy Association )」が設立され、チーム医療の一つとして積極的に取り入れられています。

芸術療法は、絵を描くだけでなく、ダンス・ムーヴメント、ドラマセラピー、音楽療法など様々な分野があり、「自由な表現を通して心と体のバランスを取り戻す医療」です。技術的な評価は全くなく、心と体の解放が治癒につながっていくわけです。

ですから、病院だけでなく、美術館にアートセラピストが配備されて医師の指示で治療の一環として患者が美術館に訪れることもあります。街中には、公的なスペースで誰もが利用できるアートスペースがあったり、ターミナルケアの一環としてアートを取り入れている施設も多数あります。

欧米諸国では、この資格を取得するためには、心理学あるいは美術の学士資格が必要であり、大学院のようなステージの学びに位置付けられています。

クエスト総合研究所は、1998年より、国内でアートセラピーの普及やセラピストの養成に携わってきました。医療分野での活動や利用が倫理上できないため、医療目的ではなく心と体のバランスを取り戻すための環境を提供してきました。

約20数年にわたり、高齢者施設でのアートセラピーや、子どもや親子向けの教室も開講しています。

また、2004年の中越地震後、新潟県小千谷市の幼稚園での園児教員向けサポートや、2011年東日本大震災後に福島県広野町での子ども村でのサポート、2000年12月31日の世田谷宮沢さん一家殺害事件後の地域サポートなど、事件や災害後の被害者支援活動などにも力を注いできました。

その経験から、日本ではまだ医療として認められてはいないものの、心身のバランスを取り戻すことで健康を回復した方々を目の当たりにすることができました。

なんとか、日本国内で国際的に認められた芸術療法の学びを提供したいというビジョンを描き続け、そのビジョンは、ついに2014年、カナダアートセラピー協会「CATA ( The Canadian Art Therapy Association)」の認定校である「CiiAT(Canadian International Institute of Art Therapy)」と提携することで、国内での芸術療法のディプロマ取得の道を開くことが可能となったのです。

日本にいながら、そして仕事をしながら海外の講師から直接指導を受けられる講座が提供されることとなったのです。

これは、クリニカルアートセラピスト(臨床芸術療法士)という名称を正式に使用できるディプロマを国内で取得できるということでもあります。

この講座「JIPATT ( Japan International Program of Art Therapy )」では6回生が2020年秋にスタートしました。すでに、4名のディプロマ取得を果たした卒業生(2020年4月現在)がおり、日本国内で誕生する「臨床芸術療法士(クリニカルアートセラピスト)」は、順次その数は増えていく予定です。

心理学、生理心理学、脳整理医学、家族心理、子どもや青年期、倫理、など、学びは多岐にわたり、また現場実習の経験を積むこの質の高い講座を、カナダのアートセラピストや心理学教授が直接指導してくれます。

今後、 日本国内でもこの芸術療法の資格が医療分野で受け入れられ、その教育環境が整っていくことを切に願っています。

アートは、心と体を整える質の高い心理療法と言えるのです。