【アートセラピーコラムVol.36】
高齢者の発する言葉の背後にはその言葉を70年、80年、90年近く使ってきた歴史がある。幼児が「山」というとき、それはお母さんが見せてくれた絵本の世界の「山」かもしれない。たった1回行った近所の「山」かもしれない。それを想像することはそれほど難しいことではない。しかし年齢を重ねた高齢者が「山」とつぶやくとき、その意味するところや「山」のイメージは、とてつもなく幅が広い可能性がある。そのすべてを理解することは到底不可能であるかもしれない事実にきづくことから出発したい。
(出典:老年臨床心理学 老いの心に寄り添う技術 有斐閣 黒川由紀子・斉藤正彦・松田修)
そう。
子どもだろうと大人だろうと高齢者だろうと
人の全てを理解するなど到底不可能なことだと思う。
だから、
「あなたを知りたい。」
何に困っているのかを。
何に喜んでいるのかを。
何がうれしいと感じる事で、何が悲しいと感じる事なのか。
少しでもほんとにちょっとでも「あなたを知りたい」
あなたが使う言葉というカプセルの中閉じ込められた
色や形や温度やにおい
そこに詰まったあなたの本当に伝えたいものを共に味わえるかもしれない。
わかりあえるかもしれない。認め合えるかもしれない。
もっとあなたを知るりたいから
わたしには画用紙とクレヨンがあるのかもしれない。
(Staff.Y)