しばさきニュースレター 2026年4月号

しばさきニュースレター 2026年4月号

━…‥‥…━…‥‥…━…‥‥…━…

四月のはじまり。
雨の日が、静かに続いていましたね。

満開を迎えた桜の上に、
やわらかく降り続く雨。

散ってしまいそうで、
どこか切なくもあるその光景に、
花見の途中で、ふと足を止めた方もいるかもしれません。

この時期の雨は、
「催花雨(さいかう)」と呼ばれているそうです。

花を咲かせることを促す雨。
咲いている花を散らすだけではなく、
これから咲くものを、
内側から準備させている雨でもあるのです。

━…‥‥…━…‥‥…━…‥‥…━…

 心に降る雨もまた、準備の時間

━…‥‥…━…‥‥…━…‥‥…━…

私たちの心に降る雨もまた、
何かの準備なのかもしれません。

私たちはつい、
心が晴れているときや、
前向きでいられるときを、
「よい状態」だと考えがちです。

反対に、
気持ちが沈む日や、
立ち止まりたくなる日、
なぜか言葉にならない重さを感じる日は、
できれば早く通り過ぎてほしいもののように思ってしまう。

けれど心理学的に見ると、
心の変化は、
明るさや勢いの中だけで起きるわけではありません。

むしろ、
少し揺れること。
少し湿ること。
少し見通しが悪くなること。

そうした時間の中で、
心の深いところでは、
何かが静かにほどけ、
何かが育ち始めていることがあります。

━…‥‥…━…‥‥…━…‥‥…━…

 「雨」とは何か

━…‥‥…━…‥‥…━…‥‥…━…

では、
その「雨」とは何なのでしょうか。
それは、
悲しみかもしれません。
不安かもしれません。

あるいは、迷い、戸惑い、沈黙、痛み、涙。
思い通りにいかない出来事。

立ち止まらざるをえない時間。
そうしたものは、
できれば避けたいものです。

けれど、心はときに、
その雨によって、やわらいでいくのかもしれません。

━…‥‥…━…‥‥…━…‥‥…━…

心の内側で起きていること

━…‥‥…━…‥‥…━…‥‥…━…

乾いた土に、
どれほど光が降り注いでも、
すぐに芽は出ません。

まず必要なのは、
土が水を含み、
内側がふくらみ、
見えないところで変化が始まることです。

人の心も、
それに似ています。

━…‥‥…━…‥‥…━…‥‥…━…

 雨の中で見えてくるもの

━…‥‥…━…‥‥…━…‥‥…━…

何かに傷ついたとき、
私たちは自分の弱さを知ります。

思うように進めないとき、
本当に望んでいることが見えてくることがあります。

悲しみの中では、
ふだんは聞こえない心の声が、
かすかに聞こえてくることもあります。

心理学では、
こうした時間を単なる停滞とは見ません。

それは、
古いかたちがゆるみ、
新しい自分が生まれるための準備でもあるからです。

━…‥‥…━…‥‥…━…‥‥…━…

春にこそ必要な「雨の時間」

━…‥‥…━…‥‥…━…‥‥…━…

春になると、
私たちはつい、
「何かを始めなければ」
「変わらなければ」
と思いやすくなります。

でも、
本当に花が咲くためには、
その前に十分な雨が必要なこともある。

心が少し重たい日。
うまく言葉にならない日。
なぜか静かにしていたい日。

そんな日を、
ただ「だめな日」と決めつけず、
花を咲かせるための雨かもしれない、と
受け止めてみる。

━…‥‥…━…‥‥…━…‥‥…━…

 おわりに

━…‥‥…━…‥‥…━…‥‥…━…

いま降っている雨にも、
意味があるのかもしれません。

その雨があるからこそ、
まだ見ぬ何かが、
静かに咲く準備をしているのかもしれません。

どうぞ、
ご自身の心に降る雨を、
少しだけやさしく見つめてみてください。

きっとその奥で、
内なる花が、
静かにひらこうとしているはずです。

株式会社クエスト総合研究所
代表 柴﨑 嘉寿隆