しばさきニュースレター 2026年4月号

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四月のはじまり。
雨の日が、静かに続いていましたね。
満開を迎えた桜の上に、
やわらかく降り続く雨。
散ってしまいそうで、
どこか切なくもあるその光景に、
花見の途中で、ふと足を止めた方もいるかもしれません。
この時期の雨は、
「催花雨(さいかう)」と呼ばれているそうです。
花を咲かせることを促す雨。
咲いている花を散らすだけではなく、
これから咲くものを、
内側から準備させている雨でもあるのです。
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心に降る雨もまた、準備の時間
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私たちの心に降る雨もまた、
何かの準備なのかもしれません。
私たちはつい、
心が晴れているときや、
前向きでいられるときを、
「よい状態」だと考えがちです。
反対に、
気持ちが沈む日や、
立ち止まりたくなる日、
なぜか言葉にならない重さを感じる日は、
できれば早く通り過ぎてほしいもののように思ってしまう。
けれど心理学的に見ると、
心の変化は、
明るさや勢いの中だけで起きるわけではありません。
むしろ、
少し揺れること。
少し湿ること。
少し見通しが悪くなること。
そうした時間の中で、
心の深いところでは、
何かが静かにほどけ、
何かが育ち始めていることがあります。
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「雨」とは何か
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では、
その「雨」とは何なのでしょうか。
それは、
悲しみかもしれません。
不安かもしれません。
あるいは、迷い、戸惑い、沈黙、痛み、涙。
思い通りにいかない出来事。
立ち止まらざるをえない時間。
そうしたものは、
できれば避けたいものです。
けれど、心はときに、
その雨によって、やわらいでいくのかもしれません。
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心の内側で起きていること
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乾いた土に、
どれほど光が降り注いでも、
すぐに芽は出ません。
まず必要なのは、
土が水を含み、
内側がふくらみ、
見えないところで変化が始まることです。
人の心も、
それに似ています。
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雨の中で見えてくるもの
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何かに傷ついたとき、
私たちは自分の弱さを知ります。
思うように進めないとき、
本当に望んでいることが見えてくることがあります。
悲しみの中では、
ふだんは聞こえない心の声が、
かすかに聞こえてくることもあります。
心理学では、
こうした時間を単なる停滞とは見ません。
それは、
古いかたちがゆるみ、
新しい自分が生まれるための準備でもあるからです。
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春にこそ必要な「雨の時間」
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春になると、
私たちはつい、
「何かを始めなければ」
「変わらなければ」
と思いやすくなります。
でも、
本当に花が咲くためには、
その前に十分な雨が必要なこともある。
心が少し重たい日。
うまく言葉にならない日。
なぜか静かにしていたい日。
そんな日を、
ただ「だめな日」と決めつけず、
花を咲かせるための雨かもしれない、と
受け止めてみる。
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おわりに
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いま降っている雨にも、
意味があるのかもしれません。
その雨があるからこそ、
まだ見ぬ何かが、
静かに咲く準備をしているのかもしれません。
どうぞ、
ご自身の心に降る雨を、
少しだけやさしく見つめてみてください。
きっとその奥で、
内なる花が、
静かにひらこうとしているはずです。
株式会社クエスト総合研究所
代表 柴﨑 嘉寿隆
