しばさきニュースレター 2026年7月号

しばさきニュースレター 2026年7月号

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旅人の喜び
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こんにちは。
夏至も過ぎ、二十四節気では末候を迎えました。

この頃になると、クレマチスの花が美しく咲き始めます。
数年前、スタッフと一緒に静岡県三島市にある「クレマチスの丘」を訪れたことがあります。
美術館と庭園が調和した、とても好きな場所でした。

残念ながら現在は休園しているそうですが、あの丘いっぱいに咲くクレマチスの風景は、今でも心に残っています。

調べてみると、クレマチスには約300種の原種があり、園芸品種になると数千種類にも及ぶそうです。
それでも、どれも「クレマチス」と呼ばれます。

同じ花でありながら、
色も、
形も、
咲き方も、
どれ一つとして同じものはありません。

その姿を眺めながら、私は「人も同じなのだな」と思いました。

同じように笑い、
同じように悩み、
同じように毎日を生きているように見えても、
歩んできた人生も、
大切にしている価値観も、
心の風景も、
一人ひとり違います。

だから、人を理解するということは、
「人とはこういうものだ」
という答えを知ることではなく、
「この人は、どんな人生を歩み、どんな物語を生きてきたのだろう」
という問いを持ち続けることなのかもしれません。

■作品は、その人だけの物語

クエスト総合研究所では、30年以上にわたり、アートセラピーを通して人の心と向き合ってきました。

アートには、不思議な力があります。
同じテーマで、同じ画材を使い、
同じ時間に描いても、
出来上がる作品は驚くほど違います。

私たちは30年以上、その光景を見続けてきました。

作品を見るたびに思うのです。
「やはり人は、一人ひとり違う。」と

アートは、その人の心を評価するものではありません。

言葉ではうまく表現できない思いや、
自分でも気づいていなかった感情、

その人だけが歩んできた人生の軌跡を、
静かに映し出してくれます。

だから私たちは、作品を見て、
「上手ですね」
「きれいですね」
では終わりません。

この人は何を感じているのだろう。
この作品は何を語っているのだろう。
そんな問いを大切にしています。

■心理学は心を旅する地図

そして、その体験をさらに深く理解したい。
そんな思いから、私たちはユング心理学をはじめとする心理学を学びます。

心理学は、人を分類するためでも、分析するためでもありません。
アートを通して出会った、その人だけの心の世界を理解するための「地図」です。

地図だけでは旅はできません。
けれど、地図があることで、
自分がどこを歩いているのか、
目の前の人がどんな道を歩いてきたのかを、
少しずつ理解できるようになります。

だからクエストでは、
アートと心理学を、切り離して考えることはありません。

体験と理解。
感性と理論。

その両方を大切にしながら、人の心を学び続けています。

■Questという名前に込めた思い

「Quest」という言葉には、
「探求」
という意味があります。

探すのは、正解ではありません。
誰かが用意した答えでもありません。

一人ひとりが持つ、その人だけの物語です。

学びを重ねるほど、「わかった」

よりも、
「もっと知りたい」という気持ちが育っていく。

そんな学びがあってもいいのではないでしょうか。

■人生という旅の途中で

クレマチスには、「旅人の喜び」という花言葉があります。
昔、その蔓が木陰をつくり、旅人がひと休みできたことから生まれたそうです。

人生もまた、旅です。

急いで答えを見つける旅ではなく、
時には立ち止まり、
自分を見つめ、
また歩き始める旅。

もし今、「人の心をもっと理解したい。」
「自分自身をもっと理解したい。」
そんな思いが心のどこかにあるのなら、
その問いは、新しい探求の始まりかもしれません。

私たちはこれからも、アートと心理学を通して、
その旅をご一緒できたらと思っています。

株式会社クエスト総合研究所
代表 柴﨑 嘉寿隆