「(略)現代の社会で生きづらさを感じている数多くの人に出会ってきた。そしてそのほとんどの人は、過去の親子関係に何らかの問題を抱えていた。そのような人に共通してみられるのは、自尊感情の低さであり、その原因は境界が閉じていることにあると思う。なぜ人は自尊感情が低下してしまうのだろうか。子どもは生まれたときは「天上天下唯我独尊」といえるほど、世の中で自分一人がと感じている。「おんぶに抱っこ」という言い草は否定的な意味で使われるが、養育者に絶対的に甘える体験というのは、自尊感情を高めてくれる貴重な体験だと思う。第1章でも述べたように、養育者に抱かれて皮膚を温められることで、温かい心が熟成されていく、これが自尊感情の根っこにあるものだろう。」
(出典)人は皮膚から癒やされる 山口創 著 草思社
人に愛情を持って触れることで分泌される「オキシトシン」はリラックス効果や癒やしそして絆を深めるものとして昨今とても注目をされています。
アートセラピーで使うさまざまな素材。それらの素材に触れている時、それは自分の心の内面、無意識の領域にも触れていることになります。私が私に優しく丁寧に触れて、撫でて、抱きしめてあげて、見つめてあげて、語りかけてあげて、受け止めてあげて。子どもの頃に叶わなかった事を素材を通して再体験するかのように、アートを通して私は私自身の母親になってかわいい我が子を抱きしめてあげているように思うのです。(Staff Y)