バーチャルリアイリティが、単に仮想世界というだけでなく、日常生活の中に少しずつ入り込んでいるという報道をたびたび見る。
ゲームや体験型のイベントだけでなく、バーチャルで商品を選んで買い物をしたり、建築のデザインをバーチャルで見ながら選んだり。
先日、現実はそもそも幻想であり、無意識世界の投影に過ぎない、という極端な視点をブログに書きました。
どこからどこまでを現実と呼ぶのか、その定義は難しい。
話は変わって、先日、私は生まれて初めて、歌舞伎を観てきました。
恥ずかしながら、60を過ぎて、初めて。
何故か機会がなくて、嫌、正直言って興味を持てずに行きそびれていたのです。
友人であり、尊敬する歯科医でもある大野先生は、たびたびオペラやコンサートに招待してくれます。
先日は、その歌舞伎、『 コクーン歌舞伎 四谷怪談 』でした。
1994年だから20年以上も前に、演出家の串田和美さんと、当時の中村勘九郎さんが、渋谷nのシアターコクーンで始めた画期的な歌舞伎公演だという。
歌舞伎が初めてだったせいもあって、いつもなら舞台を見ているとウトウトしてしまうのに、今回は目を見開いて最後まで観劇(感激)。
演目は、「 四谷怪談 」でした。
子どもの頃から、この四谷怪談の話は、怖―いお話だということを見聞きしていました。
顔面がひどいことになっているお岩さんが、井戸端でお皿を「 いちまーい、にまーい、さんまーい、、、、 」と数えるシーンは目に焼きついています。
怖いのはお化け屋敷を含めて、ホラー映画もお断り、なのですが、この四谷怪談にはそんな場面はひとつもなく、十分に初めての歌舞伎を楽しむことが出来ました。
おかげで、歌舞伎座での本格的な歌舞伎にも行ってみようという気にもなったほどです。
現実ではない世界を、生の舞台で見るのは、私たちのイメージを刺激してくれます。
そして、そのことは、狭まってしまった視野を広げることを助けてもくれるのです。
私は若いころに音楽産業の会社で働いていました。
アイドル全盛のころに。
テレビ各局に歌番組があって、日曜日にはラジオ局には電リクと言われるリクエスト番組が必ずあって、局の電話はひっきりなしに鳴り響いていました。
そのころに、ある人から、アイドルを追いかけるファン心理で面白い話を聞いたことがありました。
ドーナツ盤を聴いているとき、ファンはそのアイドルを独占し一番身近に感じているのだけれど、コンサート会場に足を運んで、そのアイドルを間近に見たときに、そのアイドルはとても手の届かないところにいることに直面してしまう、と。
会場に行ったほうが、そのアイドルの近くにいるのだから、遠い存在に感じるという話にピンと来なかったのを覚えています。
会場で同じ空間にいるにも関わらず、ファンはますますそのアイドルを届かぬ存在に感じてしまうというのです。
言ってみれば、コンサートや演劇の舞台などは、一種のバーチャルリアリティで、自分の世界にいるようで現実ではない。
そこに、感情移入や投影は起きるものの、相変わらずそれを見ているものにとっては非現実体験なのです。
タレントさんやアーティストは「 夢を売る 」仕事、と言いますからね。
コンサートや舞台にでかけることは、本を読むことと同じくらいにイメージを広げることに役立ちます。
そして、このイメージを広げることがどれほど現代人に大事なことで、役立つことなのか、そのうちこのブログで書くことにいたしましょう。
きょうは、ここまで。