クリニカル・アートセラピスト日本第一号、おめでとうございます。
日本にいながら、この資格を取得した感想はいかがですか?
アートセラピーを習い始めた頃、自分がここまで続けることになるとは思ってもみなかったです。やりたいと思うこと、心が赴く方向へと歩みを進めているうちに、アートセラピーの場を作ったり教えたりする立場にもなっていました。その道を歩いている中でJIPATTに出会ったという感覚です。
出会った時、これからもこの道を歩んでいくなら、さらに自分の幅を広げたいと思いました。1期生ということもモチベーションとなり、日本初の試みはどんなことにつながっていくのか、未知の世界にわくわくしました。
実際に学んでみて、これまで実践してきたことの意義を感じられましたし、さらに他国のアートセラピーについてももっと知りたい気持ちになりました。
大変さや喜びはどんなところにありましたか?
大変といえば大変でしたが、それは自分のスケジュールや気持ちによるところがありましたので、大変さの中には入りません。しかし忙しい。うまくいかなくて焦っている。など、気持ちを素直に分かち合える仲間が居たことが支えとなりました。
今は、最後まで辿り着けたという大きな喜びがあります。
ディプロマを目指したことで得た価値はどんなものでしたか?
クラスの中でもよく議論になりましたが、これまでアートセラピーを提供するにあたって、自然にやってきたことをクリニカルな視点に結び付けていくという意識が育ちました。そういう意味で、視点が広がったと思います。
特に印象に残っているテーマは、ありましたか?
卒業論文のテーマとして取り組んだ、がん患者へのアートセラピーには深い縁を感じています。JIPATTを学ばなければ、関わることがなかったがん患者の方々とアートセラピーを通して出逢い、アートを介して共に過ごしました。
皆さんは、がんという病気が自分にもたらしたことや自分がこれまでの人生で選択してきたことの意味について振り返ったり、抱いている想いや気持ちをたくさん語りました。そこで私は様々な生き様に触れました。
またその最中に、大切な人ががんになり、これが青天の霹靂というものかと崖から突き落とされたような気持ちになった時に心の支えになったのも、これらの経験があったからです。同時に、真にがん患者や家族の気持ちに触れた瞬間でもありました。
これを価値というのかわかりませんが、アートセラピーは人生そのものを表現するものだと感じている私にとっては価値といえるかもしれません。
今後のビジョンについて、聞かせてください。
好きなことを生涯現役で、自分のペースで続けていきたいと、20歳の頃から思っています。それを体現しているのはルシール(※)さん。私も80歳超えてもやっていたい、そうあれたらいいなと思っています。
そして、今後もがん患者へのアートセラピーを深めていきたいですし高齢者、大人、子どもと色んな人と関わっていきたいです。また、他国のアートセラピーについても積極的に情報を得て、日本でどうやって取り入れたらいいかも考えていきたいと思っています。その中でも、特に、目の前にいる人のことを一番に考えられるセラピストでありたいです。
※ルシール
Lucille Proulx:
カナダアートセラピー協会登録アートセラピスト(M.A.,ATR,RCAT)、
CiiAT Foundind Director
80 代半ばの現役アートセラピスト
■吉川恭子さん
JIPATT を1 期生で学ぶ。
現在は、高齢者施設やホスピスの現場でアートセラピーを提供している。