高齢者を理解するためには、その個人のそれまでの人生の軌跡を知ることが必要である。仕事や糧における役割や家族との関係、社会的な地位などの生活史は、その個人の精神構造形成の背景として重要である。そのことは、中年・初老期の人にとっもみすごせない。というのは老年期をいかにいきるかは、それ以前の生き方によって規定されているからである。
(出典:「高齢者の孤独と豊かさ」竹中星郎 日本放送出版協会)
高齢者との関わりの中で私はたくさんのことを学ばせていただいると実感する。
その方がどのような人生を生きて、今ここにいるのか。
何を大切にし愛し、どんな悲しみを抱えているか。
どのよう出来事を受け取り、どう折り合いをつけてきたのかなど。。
今日は78年前の日をテーマにした。
クライアントは青年だった。
腹ペコだった。
玉音放送の音よりも夏の音が忘れられないと
78年前の今日の絵を一枚描いた。
そしてマスクの端を濡らしながら今への想いを語る。
会うたびに笑顔を見せてくださるその方の歴史
「なんてことないよ」と笑う。
だけれど、ゆっくりと時間を重ねていきながら
「高齢者の〇さん」ではなく、
「〇さん」という人が表れてくる。
はっきりとした輪郭が描かれ
様々な経験が血管を脈打ち、
生きた言葉で
今日を紡ぎ
明日の頁に手を伸ばす。
それを聞くセラピストもまた
この時間を感覚のすべてで吸収し
同じように明日の頁に手を伸ばす。
Staff.Y