Vol.16 大人になること

「創造的な人生を生きることは、いいかえると、自分の個性を見出していくゆくことだろう。個性を見出すことは、いうはやすく行うは難いことである。特に、わが国のように常に周囲に対しては配慮を払わねばならぬところでは、自分の個性を見失いがちになる。大人になることを、既成のシステムのなかへの適合と考え過ぎると、失敗してしまうわけである。」
 

出典)「子どもと教育 大人になることのむずかしさ 思春期の問題」 河合隼雄 岩波書店

50をとうに過ぎてもいまだに自分が果たして「大人なのだろうか?」と常々思う。
いろいろ出来ないし、いろいろ知らないことだらけだ。

はて?大人とはなんだろう?そんな問いすら出てくる。

この本のあとがきに河合先生はこう記している。
「自ら考え、自らの力で大人になる道を考え出して下さると有難いと思う」。

自分を内省するそんな時があっていいと思う。
アートはそんな内省にとてもいい。時に瞑想と同じ感覚になる時もある。
まとまらぬ考えや波打つ感情を紙面はただただ受け止め、気がつくと頭の中の騒がしい会話は静まり、ふっと閃きや新たな視点に気づかせてくれる時もある。

自分の内側から湧きで見つけたものは、宝であり、なにより生きる力になる。
(Staff Y)