2020/8/18 Vol.32 積む

「ユングは、意識の中心としての自我(ego),意識と無意識を含む心の全体性の中心として自己(self)を想定している。われわれの意識は、自我を中心とした、ある程度の安定性と統合性をもち、それゆえに一個の人格としてのまとまりをもっているのであるが、その安定した状態に人間の自我はとどまらない。その安定性を崩してさえ、より高次の統合性へと志向する傾向を、われわれは心のなかにもっており、「症状」や「問題行動」は「より高次な統合へと志向する発達途上に生じている不安定」とみるのである。そして、このより高次な統合を担うのが、意識と無意識を含む心の全体性の中心であり、ユングはそれを自己(セルフ)と名づけている。
 ユングは、個人の内在する可能性を実現し、その自我を全体性へと志向させる努力の過程を、個性化(individuation)の過程と呼び、人生の究極の目的と考えた。この個性化の過程は、自己実現(self realization)の過程ともいうことが出来る」

出典)放送大学教材 心理臨床の基礎 小野けい子

アートセラピーは心を扱う。
無意識に中にある言葉にならない想いやエネルギー
素材に触れながら現れたものと対話をする。
石に触れる。
どこか懐かしいものに触れるような感覚。
ひとつひとつ手に持って今あう感触の良いものを探しながら
石積みをした。
崩れてももう一度。また崩れたらもう一度。
乗せるんじゃない。
積むんだ。
石には必ずそれぞれの中心がある。
私は夢中で石の中心を探していた。
気がつくと30分以上経っていた。
それは自分を取り戻すかのような時間だった。
(Staff Y)