クエスト総合研究所NEWS 2019年8月号

● クエスト総合研究所NEWS 2019年8月号

本格的な暑さが始まりました。

つい先週までは、ジャケットを一枚着ていたはずが、

一気に蒸し暑さがやってきました。

さて私は、今年も士幌高原にいます。

この時期は、恒例の小中学生向け自立に向けた

野外体験学習「グロースセミナー」です。

今年はついに30回目。

つまり、30年目のセミナーです。

 

● 向き合うこと
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現実に向き合うことは、覚悟が必要です。

4泊5日のこのセミナーでは、様々な出来事が起きます。

この体験学習では、起きた出来事に(たとえ不快なことだとしても)

真正面から向き合っていきます。

それも全員で。

今年は、例年になく、低学年がとても多いグロースになりました。

1、2年生だけで10人。

初参加も10名以上。

リピータたちには当たり前のことでも、

初参加や低学年にとっては初めて耳にすることばかりです。

自分で決めろ!

黙っていて、人の意見に賛成するだけじゃ、自分がいないのと同じ!

どんな小さな決定でも、それを自分が決めたということを大切にしろ!

(誰かが忘れ物をしたときに)ほかのみんなも、

この忘れ物に責任がある!自分にできたことは何だ?

などなど

こうやって、否が応でも、

「自分」という存在に、向き合うことになっていくのです。

 

● どうしたいか? 
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こんなことがありました。

テントから起き出した、H君初参加。

みんなでテント撤収をするのですが、ひとりうずくまり泣いています。

スタッフの一人に様子を観にいかせたのですが、状態はそのまま。

10分ほどたってから、私からH君に近づきました。

相変わらず泣いています。

どんな状況でも、私は子どもと視線を合わせて話すことにしています。

泣いていてもいいから立ちなさい、というとちゃんと立ち上がりました。

「何が起きているんだ?」と聞くと、「帰りたい」と言います。

ホームシックにかかる低学年はよくいます。

帰りたい気持ちはよーくわかった。

ただ、帰るにしても、一緒に連れて帰るスタッフがいないこと。

ママに迎えに来てもらうにしても、飛行機を予約してからくるから、

すぐには来れないこと、など事実を伝えました。

そのうえで、

「ママに来てもらって、どんなことを伝えるんだ?

 帰りたくなったから、ママを呼んだ?

 それとも、帰りたくなったけど、

 昨日は一生懸命頑張って、テントに寝たこと?」

実は、別の子どもが「帰りたい」と泣いているの横目で見ながら、

H君は涙をこらえて昨晩は踏ん張ったのです。

「ママが来たら、そのこと絶対に自慢しような」

うなづくH君に私は

「ところで、今日も、仲間たちといろんな実習をすることに

 なっているんだけど、それをやめて、帰るってママに言うの?

 それとも、みんなと頑張るって言いたいの?」

泣いているH君は、「2番」と即答です。

つまり、みんなと頑張ると言いたいらしい。

「そしたら帰れないけど、いいのかな。

 じゃあ、羽田に迎えに来てもらった時に、

 帰りたかったから実習はやらなかったと正直に言おうか?  

 それとも、すごく帰りたかったけど全部やったって言いたいの?」

これも「2番」と即答でした。

突然仲間たちのところに走り寄り、テント撤収の手伝いを始めました。

 

● 山に登る 
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結局、やりたくないと言っていた山登りを、

おそらくチームの中で一番楽しみ、

ついには、彼独自の遊びを自然のなかで見つけたのです。

それは色を探すこと。

大自然には色があふれています。

名前を付けられないような色もあるし、緑も何種類もの緑があります。

かれは、山に登る間だけでも、40以上もの自分で名付けた色を発見しました。

「オレ、これ楽しい。百まで見つける、家に帰ってからも毎日やりたい」

泣きながら帰りたいと言っていたH君はもうどこにもいなくなってしまいました。

H君は、自分と向き合ったのです。

そして、どうにもならない環境の中を生きる力を発揮したというわけです。

正直、私は、毎回グロースで、子どもたちからたくさん学びます。

だからこそ、このグロースは、私にとって貴重な機会なのです。

Mちゃんに聞かれました。

「しばしばのさぁ、好きなことって何?」

私は即答でした。

「グロース!」

● INDEX ●……………………………………………………………

【1】クエスト・アートセラピスト養成講座
   <理論と実技><心理療法と自己分析>を学ぶ 《東京》

 今、社会では、子どもや高齢者だけでなく、
 学生、お母さん達、働く大人…
 そんな人達のための「居場所づくり」が注目されています。
 その「居場所づくり」に必要なのは、共感・尊重・信頼。
 それらをつくり出すのに、アートはとても大きな効果があります。
 クエストでは、「アートによる居場所づくりができる」
 アートセラピストを育てています。

 10月スタート!『クエスト・アートセラピスト養成講座』
 ●《理論と実技を学ぶ》* 半年間
 ●《心理療法と自己分析を学ぶ》* 半年間


【2】クエスト・アートセラピスト養成講座向け「講座説明会」
《東京》

 アートが心にいい理由って?
 そもそもアートセラピーって?
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 講座ではどんなことを学ぶの?
 映像やアート体験を通して、お伝えいたします。
 ●8月7日(水)19:00~20:30  他

 ※セミナー付き講座説明会も開催します!
 ●8月24日(土)18:00~20:00
  テーマ:代表柴崎による「自己成長とアートセラピー」


【3】子どもに関わるすべての方へ『親ゼミナール』《東京》
 〜自己肯定感を高める子どもとの関わり方〜
 子どもたちとの30年に渡る野外活動の経験を持つ柴崎による
 親御さんや子どもに関わるすべての方のための「親ゼミ」。
 子どもとの関わりだけでなく、
 親自身の人間関係にとても有効な学びです!
 ●9月18日(水)10:00~12:00
  テーマ:人とのつながり方~問いかけと承認~


【4】アートワークカフェ《東京/大阪/茨城/静岡/札幌》

 アートワークカフェでは「アートのあそび」を通じて、
 自分らしさを取り戻していく時間と空間を提供しています。

【東京】夏のアートワークカフェイベント
    テーマ:私が大切にしたい『ものがたり』のこと
    ●8月24日(土)①10:30~残席6 ②13:00~
    夏にぴったり!シーグラスを使ったものがたりづくりの
    アートワークです。

【大阪】『16種類の選べるアート』
    ●9月29日(日)15:00~16:30
【静岡】『月のおうちArtWorkCafe』
    ●8月31日(土)13:00~16:00
【茨城】『アトリエ アート&プランツ』
【札幌】『きんいろの木』